総桐箪笥の別誂えを承ります。
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総桐箪笥をお勧めする理由

大事なことは桐の箪笥が本当に衣類を守ってくれるのか?と言う点です。昔から
「大切な衣類などを収納するには桐箪笥が良い」
と言われてきました。特に和服を始めとする絹製品や、毛皮、ウール製品を保管するのに最適、とされています。聞いたことが有るはずなのですが、ではなぜ良いのかと聞かれると「何でだっけ?」と言う方も多いのではないでしょうか?それが分かれば、箪笥の選び方も変わってきます。


★総桐箪笥と一般的な箪笥とどう違う?
◎一般的な木製箪笥と総桐箪笥の比較
・外観
木製箪笥・・・見えるところは塗装が施されている

総桐箪笥・・・無塗装で白木か表面を焼いてある焼桐
・部品構成
木製箪笥・・・表面や引き出し、背板など部品によって違う素材を使用する事が多い
総桐箪笥・・・金属以外、全ての部品が同質同素材の桐で出来ている
【ポイント】
木材は木の種類が異なれば、吸排湿の際の膨張収縮比率が違います。これがゆがみの原因です。塗装するのはこのゆがみを抑える為、吸排湿をさせないようにしているのです。総桐箪笥はその名の通り全て同一木材なので塗装の必要がありません。
では、なぜ桐以外は同一木材で作らないのか?一番の理由は材料と加工費コスト削減。しかし結果として木材が本来持っている性質を殺してしまい、加工のしやすさだけが残ったのです。また経年変化に強く、その性質や形状の変化が少ないだけでなく、桐の持つ防虫機能や保温機能など、デリケートな絹を始めとする高級衣類を守る事が出来る機能が、昔から箪笥に最適とされ今に至っているのです。


総桐箪笥に衣類を収納すれば、天然繊維が苦手とする高温多湿、繊維を食物とする害虫を遠ざけて、お気に入りの衣類を安心して長く保管、愛用する事が出来る


だからこそ、総桐箪笥のご利用をお勧めするのです。実際に桐がどんな性質と機能を有する物か、詳しくご覧になりたい方は、以下に詳細をまとめましたのでご覧になって下さい。「そんなこと聞かなくても知っているから、具体的な注文方法を教えて!」と言う方は、
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★そもそも、桐とはどんな木なのか? 
代表的な特徴は次のようなものです。
1、防湿機能
桐はミクロサイズの小部屋が無数にあり、その小部屋が湿度を調整する機能を持っています。周囲の湿度が上がれば湿気を吸収して膨張し、乾燥してくると排出して収縮する為、呼吸をする木材と言われています。湿気を吸排してくれるので桐の板で作られた箱の中は、湿度が安定しているのです。
2、防虫機能
桐はアルカリ性が強い木材で、更にタンニン、セサミン、パウロニン等の成分が含まれており、これらの影響で虫が寄りにくいと言う特徴があります。
3、保温機能
上記の1でご紹介した通りミクロサイズの小部屋があり空気層となり、天然の断熱材になっているので、保温機能に優れています。昔からご飯を入れるお櫃(おひつ)に使われていたのもその為です。
4、耐火機能
桐は広葉樹で、引火点は針葉樹(杉や松等)よりも高い270℃前後と言われています。更に熱伝導率は他の広葉樹と比較しても低く、桐の耐火性能の高さを裏付けています。
樹種 熱伝導率(Kcal/m.h.c) 樹種 熱伝導率(Kcal/m.h.c)
スギ 0.075 キリ 0.063
トドマツ 0.077 カツラ 0.091
モミ 0.082 シオジ 0.096
ヒノキ 0.082 ヤチダモ 0.099
ヒバ 0.084 クリ 0.108
出典:公益社団法人 日本木材加工技術協会資料より抜粋転載
5、軽比重
桐の比重は、水を1とした場合たった0.3しかありません。国産の木材の中でもトップクラスの軽さです。

【ちょっとハナタカな話】
引火点とは、物質を加熱した時に、表面に火が出る温度のことを言います。木材の場合は加熱されて内部から出た可燃性ガスが燃える温度です。マッチに火を点けた時、軸の部分に薄っすらと液体のようなものが見えます。これが可燃性ガスの素。でも木そのものが燃えていないので加熱をやめると火は消えてしまいます。木質が燃え始める温度が着火点、更に炎が出始める温度を発火点と言います。発火点は引火点よりも更に高く400℃を超えます。かまどで料理をするとおいしいと言いますが、この発火点の温度の高さが一役買っていると言われるのです。
※たまに見かけるサイトには、着火点、発火点そして引火点が混同されている表記が有りますので、上記の違いを覚えておくと「ハナタカ」と言えますね。


★桐で箪笥を作るメリットって何?
桐と言う木材を箪笥にするとどんな良い事が起きるか、それをご説明します。
ここまでご紹介した通り、素材の性能は非常に特徴的です。その特徴を生かすとどんな箪笥になるのでしょうか?特徴の順にそのメリットをご紹介します。

1、収納したものが湿気らない
桐が外気の湿気を吸収し膨張すると、引き出しや扉の隙間が狭くなります。その結果箪笥の中に湿気が入りにくくなります。また少し湿った衣類をそのまま仕舞ってしまうと、同様にその湿気を吸収しますが、外気が乾燥していればそれを外に排出してくれます。つまり箪笥の中は湿度が安定し、カビが生えにくくなると言う事なのです。
【ポイント】
湿気を吸収してくれると言っても、乾燥機ではないので時間が掛りますから、出来る限り衣類は乾燥させてから仕舞って頂く事が大切です。

2、防虫剤は要らない
アルカリ性と言ったらどんなイメージでしょう?アルカリ性食品は体に良いと言うのは、周知の事実ですが、生き物にはそれぞれ適量と言うのが有ります。桐の持つアルカリ成分は虫にとっては強すぎる上に、前述の3つの化合物が、衣類に穴をあける虫たちが寄ってきにくい状態を作り出すのです。
【ポイント】
一つの引き出しに衣類をたくさん詰め込むと、折角の桐の持つ成分は衣類の間に届きません。その結果虫食いが起こる事もあり得るのです。箪笥の中も人のお腹も腹八分が良いと言う事ですね。

3、経年変化を抑えてくれる
レジャーに行く時、発泡スチロールの保冷ケースに冷たい飲み物などを入れておくと、長時間冷たいままなのは、細かい空気の入った部屋が無数にあって、その空気層が外から熱が入るのを邪魔している為。ふわふわのセーターが暖かいのは、毛糸の繊維が絡み合って作る空気層が、身体の熱を外に逃がさない為。桐も同じなのです。防湿機能で説明した通り細かな小部屋をたくさん持っており、温度変化が少ないので、衣類への負担が少なく長持ちするのです。
【ポイント】
温度変化が少ないと言う事は、収納する時の温度が大切。1と同様、衣類を脱いですぐに仕舞う事は避けるようにしましょう。体温で暖められたままの状態での収納は、汗などの水分と共にカビの発生につながる事があります。

4、雨にも負けず、熱さにも負けず
宮澤賢治の詩の一説のようですが、これは総桐箪笥のお話です。前述の通り燃えにくく軽いと言う特徴の桐。実際に、火災が鎮火後に総桐箪笥の中の着物は無事だったとか、洪水で流されたのに中身は濡れていなかったと言う話が、まことしやかに伝えられています。
かぐや姫伝説ならぬ、家具屋の伝説で真偽のほどは定かではありませんが、否定できないだけの機能を持つのが総桐箪笥。焼桐の加工は大きなバーナーであぶり焦がしていき、焼かれた表面は炭化しています。木の種類は異なりますが炭化した木材は屋外で使用する杭にも使用するほど風雨に強い。しかも比重が軽く膨張収縮機能に優れる桐なら、水に浮かんで流されても中まで浸水しないことは十分あり得るのです。

【ちょっとハナタカな話】
火災の話をしていますが、火災の炎は一体どれくらいまで温度が上がるのでしょう?消防庁等の資料によれば、一般的な住宅火災は通常、発生してから5〜10分程度で400〜500℃くらいに達し、更に天井が焼け落ちるような大規模火災では、万一フラッシュオーバー(熱と酸素供給の変動による火勢の急拡大現象)が起きれば1000℃まで上ると言われています。いくら総桐箪笥が熱に強くても、こんな高温では長くは持ち堪える事が出来ませんから、火の素には十分ご注意を。


★桐にデメリットはないの?
桐にもデメリットは有ります。主に次の二つがそれになるでしょう。
1、柔らかさ
木の表面が樫や欅などと比較すると柔らかいので、ぶつけたり引っ掻いたりすると傷がつきます。その分、収納したものには優しく出来ているとも言えます。
2、日焼けする
地色が非常に白いので、他の木材と比較すると日焼けが目立つと言うのが正しいでしょう。日焼けする事で桐の持つ特性は変化しないので、やはり衣類の収納は桐に勝る素材は有りません。だからこそ昔から箪笥の素材として使われ続けているのです。
【ポイント】
硬いものをぶつけたりしないに越したことは有りませんが、少しでも傷を軽減し日焼けを抑える為に、油単(ゆたん)と呼ばれるものが使われてきました。木綿製の箪笥のカバーの事で、婚礼家具などでは家紋や名前を染め抜くなどして、より豪華に見せてくれます。