ふろしきの「あれこれ」をまとめてみました。
★サイズと呼称
お客様からよく聞かれることのトップは使い方ですが、二番目に多いのはサイズについてのご質問です。
「カタログや商品説明に 二巾 と書かれているのがサイズのはずだが、読み方が分からない、商品ごとに実寸が異なったりしている」というものですが、カタログには次のようになっています。
※上図サイズ表出典:風呂敷カタログ有職
上のサイズ表をさらに細かく解説すると以下のようになります。
表 記 | 読み方 | 実 寸 |
中 巾 | ちゅうはば | 約45〜50cm |
尺三巾 | しゃくさんはば | 約50cm |
二 巾 | ふたはば | 約68〜75cm |
二尺巾 | にしゃくはば | 約75cm |
二四巾 | にしはば | 約88〜97cm |
三 巾 | みはば | 約100〜105cm |
大 判 | おおばん | 約118cm |
四 巾 | よはば | 約120〜130cm |
五 巾 | いつはば | 約150〜175cm |
六 巾 | むはばorろくはば | 約180〜200cm |
七 巾 | ななはば | 約230cm |
※赤文字のサイズは既に製造可能な加工場が有りません
ご覧の様に、同じサイズ表記なのに、実寸値には重複あるいは大きさに幅があります。これは素材と地域差によって生じているのです。実際にはこの表に記載の無いサイズや呼称も複数存在しています。ちなみに六巾の対角線の長さは最大約280cmですから、単純計算で直径80cmくらいのボールをちゃんと包める大きさです。
★ふろしきの作られる過程が大きさの多様性の原因
ふろしきの大きさは本来その大きさの基になる生地幅で決まってきました。ふろしきをよく見ると、上下を細く巻いて縫製し、左右はそのままの状態であることが解ります。つまり幅は生地を織ったままの状態なのです。しかし、生地の種類によって織機の基準が皆異なる為、正絹と木綿と言った素材の違い、またシャンタンや天竺と言った織り方の違いで、ふろしきの大きさが異なるのです。
上記の様に書きましたが、四巾の一部や五巾以上のサイズは1枚の生地ではありません。大き過ぎて織機の幅で対応出来ない為、継ぎ目が有り2枚を縫い合わせています。縫い目の位置も幅の中央にあるものとそうでないものが有ります。
更に関東と関西で基準となる幅が異なります。これは畳の大きさにも見られます。京間、関東間、中京間と言った地域ごとのサイズが存在するのと同様、生地の織られる幅も地域によって異なる為、製造している工場や販売店によって、同じ表記なのに複数のサイズが存在することになります。流通速度や製品の規格と言ったものが現代の様に素早く共有できる環境にない、江戸あるいはそれ以前から作られた、伝統的なものだからこその多様性と言えます。
★ふろしきのこれから
ふろしきは昭和の半ば頃まで、非常に多用されていた日用品の一つでした。しかし時代の流れの中で紙袋やエコバッグ、そして現在では問題視されているプラスチック製レジ袋の台頭によって消費が落ち込み、その使い方も忘れられていきました。確かに結ぶ手間が無く簡単に入れる事が出来る袋は便利です。でも袋には形状と大きさを変えられない、素材が使い捨てであったり、自然環境に優しくなかったり等の問題があります。
ふろしきのデメリットは使い方を忘れている事、メリットはサスティナビリティと多様性。樹脂というものが存在しない時代に作られた物は、基本的に自然には優しいものが多いと言う事を思い出してみましょう。だからこそこのようなページを作りご紹介をしようと思い立ったのです。
◆ふろしきの豆知識◆
これは知っておいて損はしませんが、知っていて得をする機会は少ないかも?!(^^;)
1 物を包むのに用いる正方形の布。「風呂敷包み」
2 入浴のとき、衣類を脱いで包んだり、衣類を着る際に床に敷いたりした布。古くは正倉院に残っているものもあり、中世には衣包・平包の名がみられる。江戸前期あたり、銭湯風呂の発達に伴って、風呂敷の名が一般的になったという。
出典:デジタル大辞泉(小学館)
辞書にはこのように書かれています。上記の様にその名の由来は、江戸時代以前の銭湯が蒸し風呂で、その木の床上に布を敷いて使った事から風呂敷、と言う説が一般的なようです。それを、大きさや色柄をTPOに合わせて変え、色々なものを包む道具として、様々なふろしきが生まれました。さらに屋号を染め抜き商店で使ったり、名前などを染めて記念品として配ったりして広まっていったのです。
ところで皆さんはふろしきは正方形だと思っていませんか?確かに辞書にもある通り、一般的には正方形とされていますが、実は真新しいふろしきは少しだけ縦長に作られています。ふろしきは製造のところでも触れたように、上下を細く巻いて縫製をします。また色々な用途で使われ、汚れたりすることも多いので当然お洗濯をします。これを天日で乾燥すれば、天然繊維はかなり収縮します。特に織物は縦方向に縮みが出やすいので、縫製時の誤差と収縮を考慮して、ほんの少し縦長に作られると言う訳です。もしお手持ちの風呂敷でお洗濯していないものが有ったら、一度計ってみて下さい。
現代のふろしきには色々な素材が使われています。
一番多いのは木綿です。と言っても、織り方の異なる様々な商品が出回っています。厚手のシャンタンから薄手のバッキンガムと呼ばれるもの、変わったものではデニムまで売られています。この他、正絹、麻混、ポリエステル、レーヨン(人絹)、ナイロン等が有ります。用途によって使い分け出来るのもふろしきの面白いところです。
また木綿には撥水加工が施されたものがあり、ピクニックシートの代わりに使ったり、急な雨の時に対応出来たりします。
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